
初めて曲をミックスするにあたってイコライザー(以下EQ)ってどう使ったらいいかわからんって問題は誰しもが直面する問題だと思います
当記事はそんな初心者のかたへ簡単なミックスにおけるEQの使い方を書いていきます
目次
EQを使う前にやるべきこと
これはずばり各トラックの音量調整です
ミックスにおけるEQの使い道はローカット(無駄な低域のカット)をはじめとしていろいろありますがそういった手段を使う前に大まかな音量調整はやっておいたほうがよいと個人的に思っています
各トラックの音量調整は非常に基礎的なことですが奥が深く、ここの土台ができていないとあとからどんどんいろんなプラグインを挿して調整しようとしてわけがわからなくなることが多いです
曲がミックスの工程に入ったらとりあえずはまず全体の音量バランスを整えてみて最低限聞けるような状態にしておくとEQのみならずそのあとの作業も非常にスムーズに進むようになります
音量調整については以前記事にしましたが正確な音量バランスがとれていないとEQの扱いも返って難しくなってくるので音量調整に不安があるかたは【ミックスの基礎】音量調整がしっかりと行われているか?の記事を参照していただければと思います
EQのブーストについて
当記事ではEQにおけるブーストについては触れません
音作りという段階では別の話ですがミックスという工程においてEQは基本的にいらない周波数を削る頻度が圧倒的に高いからです
初心者ならなおさらで変にブーストとすると途中でごちゃごちゃしてわけがわからなくなってくると思うのでまだミックスに慣れてない方にはミックスにおけるEQは削るものだという認識でいたほうがいいと思います
それでは以下は具体的なEQの使い方について解説していきます
1.まずは鋼の意志でローカットする

こんな感じでキックやベースなど低域を担当する音が既に配置されている場合、それ以外の音は必要のない低音はあとかたもなく焼き払ってしまいましょう
ただ、なにもかも全てローカットしてしまうとそれはそれでスカスカな音源になってしまうので何事もやりすぎはよくないです
ちなみに画像のEQはFabFilter Pro-Q2(現在はQ3が出ました)というEQで画像の通り周波数分布を確認しながら調整できたりリニアフェイズEQというマスタリングで重宝する機能も兼ね備えていますので買って損することはないんじゃないかと思います
リニアフェイズEQとは簡単にいうと音の味付けを大幅に行わないモードのことでミックスで個別で挿すことはあまりないのですが(PCへの負荷も大きいため)、マスタリングなど音を微調整するときには非常に便利なものです
ただそれなりに値段はしますのでセールしているときを狙うか、もっと初心者ならフリーのEQでもいいと思います
フリーで僕がおすすめするのはMeldaProductionのMEqualizerですね
細かい音の調整がしやすいのとコンプとかリングモジュレーターとか様々なプラグインが全てフリーでバンドルされているので金銭的に余裕のない方はこれを落としておけばしばらくは無敵になれるはずです
周波数分布も表示できるのも大きな利点です
さてキックやベースなどの低域を担う役割をもつ音色以外はもれなくローカットします
扱うジャンルによってはベースもキックと帯域が被らないようにカットします
ここで注意すべき点がひとつありましてカットしすぎもよくないということです
カットしすぎると原音のよさが失われるのもそうですが、音が非常にシャカシャカして本当は必要だった帯域まで削られてしまい完成した音源にあまりいい影響を及ぼしません
その音は何の役割を担っていてどこまで削る必要性があるのか意識しながら行うことが重要です
例えばハイハットとかクラッシュシンバルなんかはそもそもローカットを必要としないことがほとんどです
なぜなら音そのものに低域がそもそも存在しないからです
よってこういった音色にはローカットが必要ありません
まずはローカットとは言いましたが今から自分がどんな周波数成分をもつ音色を処理するのかを理解したうえで適度にカットすることが大切です
2.音の灰汁抜きをする
音作りをしてると「すげーかっこいい音ができた!!」って狂喜乱舞することがよくあるのですがそれでも意外と余計な周波数成分って混ざってたりします

こんな感じです
いらない音の箇所を探すコツですが一旦Qの幅をめっちゃ狭めて過剰にブーストしてみましょう
その後ブーストの状態を保持したまま右に左に動かしてみましょう
そうするとやたらキンキンしてたりモワモワしてたりする箇所が見つかりやすいので見つけ次第排除しましょう
この作業をやるだけでも音自体がだいぶすっきりすると思います
3.他の音色と同じ周波数を含む音の整理
この作業はやや難易度が高いです
例えばリードやパッドにキックのアタック感が埋もれてしまってる…
ってなったときにどうするかという話ですが一番単純に思いつくのはキックのアタックの周波数をEQでブーストすればいいじゃん!ってことなんですが冒頭でも書きました通りブーストはおすすめできません
もしブーストが必要ならば音作りの段階でそれは済ませておくべきだと僕は思います
しかしながらミックスしていてキックが他の音色に埋もれてしまうことって割とあります
そこでどうすればいいかといったらその被っている他の音色のキックのアタックにあたる周波数をカットすればよいのです
2kHzがキックのアタック感を出しているのだったらリードの2kHzを少しカットするだけでもキックは前に出てきます
ここでも過剰にカットすることは禁物です
理由はローカットの時と同様原音のよさを損なうからです
このようにキックをもっと前に出したいなぁとかリードとパッドが被ってるなぁと思ったときはアナライザーなどをつかって被っている帯域を見極め該当する周波数を少しカットするのです
音数が増えてくると非常に難しい作業になるのでよくわからないうちは安易に同時に多くの音を足さないほうがいいです
アレンジの段階から音の役割を決めてあとの作業をスムーズに行えるようにしておくことが大事かもしれませんね
初心者の方はとりあえずローカットを頑張ろう
ここまでいろいろ書いてきましたがまずはローカットですね
これがうまくできてるだけでもだいぶ違います
そしてできてないと大量の無駄な低域によってモワモワ音源のできあがりです
低域は聴覚上聞こえにくいためパッと聞いた感じではわからないもんですがアナライザーを通してみると結構入ってたりします
なのでよくわからん内はアナライザーで周波数分布を確かめて作業に取り掛かりましょう
EQにアナライザーがついていると便利ですがない場合はフリーでSPANという非常に優秀なスペクトラムアナライザーがあるのでそれを使ってみてもいいかもしれません
www.ytek303.com
あとは冒頭でちょろっと紹介したMEqualizerがスペクトラムアナライザーのついたフリーのEQなのでオススメです