編曲が終了し、いざミックスへ!!ってなったときに誰しもがすることは音量調整だと思います
各音色の音量調整はミックスにおいて基礎中の基礎なのですがそれゆえに奥が深いというかここの土台の部分が適当になってしまうと後のEQやコンプをいじくっても結果としてうまくいかないことが多々あります
そんな一番の基礎項目かつ最重要項目の音量調節(以下フェーダーバランス)について書いていきます
フェーダーバランスはミックスの基礎であり最重要項目
僕はミックスといえばEQやコンプというイメージが強かった時期があり、このフェーダーバランスの調整という最初の工程を結構雑にしていた時期があったのですが、正直今はこの最初の工程が一番大事なのではないかと思っています
その理由としてはフェーダーをしっかり意識して調整するようになってからの音源の各音色の聞きとりやすさや音圧の問題などが大幅に改善されたからです
音量バランスがとれてないとどういうことになるかというと、例えるならば下手なバンドマンのライブです
ボーカルが主役なはずなのにギターの主張がやたら強かったりドラムがドンドコうるさかったり、メンバー全員がサウンド全体のことを考えず自己主張激しく演奏して結局なんだかよくわからん曲になってしまうといった感じです
電子音楽における音量調整もそれと同じように全部の音が同じ存在感の音量だとごちゃごちゃすぎて聴きどころが全くわからない曲になります
そしてその状態からEQやコンプとかを使ったとしてもそもそもバランスがとれてないで残念な音源になってしまうでしょう
ですのでミックスを上達させるにはEQやコンプはおいておいてまずはフェーダーバランスの練習だけをしたりする時間をつくるのが大切じゃないかなと思います
具体的なフェーダーバランスの練習方法
アレンジまですんだ音源をひとつ用意してそれを毎日フェーダーと定位の調整だけを短時間で済ますというやり方が個人的にはおすすめです
音の屈折が朝と夜で違ったりするので作業する時間や条件を固定してやるとなお良い気がします
そして音量バランスをとるときはまずリズム隊から行うとスムーズにいきやすいです
特に一番最初に着手すべきはキックだと思ってます
僕はキックをまず-10dBに固定してそこからは動かさず、キックを基準にしてスネアやハット等々のバランスをとっていきます
そしてリズム隊のバランスがとり終わったら一度アナライザーで周波数分布を確認して
中域にはいるシンセや歌物ならボーカルが入るすきまがあるかを確認して適宜細かい調整をしていきます
この自分の中での基準値をつくるのは音量バランスをとる上で非常に重要だと思います
そして作業が完了したら書き出して、ある程度ストックが溜まったら全部聞き比べてみてください
結構音量バランスが日付によって違うことに気づくと思います
人間の耳は案外いい加減なものなのでこれを矯正するためにも音量のバランス感覚を練習して鍛えておくことは重要です
プロのレコーディングエンジニアさんはこういったトレーニングを毎日のようになさっているようで、その結果感覚的に適切な音量バランスがとれるようになるそうです
カクテルパーティー効果
人間の耳はいい加減とは言いましたが、優れている部分も当然あります
それがこのカクテルパーティー効果というものです
どういうことかと言いますと、例えば自分の周囲が騒がしかったとしてもヒソヒソ話って聞こうと思えば聞くことができますよね
このような現象を音響学ではカクテルパーティー効果と呼ばれています
ではこれがミックスにおいてどう関係してくるかといいますと音数が多い曲でも聞こうと思えば小さい存在感の音も聞き取ることができるということです
ですので脇役的な音はあくまで脇役の音量に徹して、メインの音色を干渉しないような存在感にしても案外聞き手には聞こえてたりしますし、この音はこの小ささだからいいという感想に出会えたりもします
クリエイター本人としてはこの音ももっと聞かせたいと思いがちですが脇役はあくまでも脇役であったほうが曲全体のバランスはよくなると思います
音響学については僕もまだよく理解してはおらずミックス(特に基礎)において必ず必要な内容でもないのでこの話は参考までにみてもらえればと思います
まとめ:ミックスはとにかくまずは音量調整から
ここまで偉そうにいろいろ言ってきましたが僕もまだまだこの音量調整には何回も見直しては調整しなおし、リリースされてからあの音をもっとああしとけばよかったってなることがしばしばあります
僕も日々実験を繰り返し試行錯誤の毎日ですのでこの記事を読んでくれている皆様も一緒に切磋琢磨していければ幸いでございます