音圧をあげる作業としてマキシマイザーやリミッターを使うのは定石ですが
各メーカーで同じ音源でも音圧がどこまであがるのかは大きく差がでるものだと思い今回は複数のマキシマイザー、リミッターを用いて検証してみました
- 比較するリミッター、マキシマイザープラグイン
- 音圧検証する音源
- 2mix音源ファイルの形式や条件及び検証結果
- Invisible Limiterでの音圧測定結果
- DeeMaxでの音圧測定結果
- L3Ultramaximizerの音圧測定結果
- 結果 : 単純に音圧を上げるならばInvisible Lmiterが一番安定
- 原音を破綻させずに音圧が確保されている曲の例
比較するリミッター、マキシマイザープラグイン
A.O.M – Invisible Limiter
DOTEC-AUDIO – DeeMax
Waves – L3Ultramaximizer
今回使用するプラグインはこの3つです
僕のような音がでかければでかいほどいいみたいな曲調をつくる方向きなプラグインを基準にして選びました
L3は正直ダンスミュージック界隈だとあまりみかけませんが、他の音楽畑では使われているので検証してみることにしました
音圧検証する音源
今回は以下の楽曲で検証を行いました
Hardcore系の曲なので全体的に音が歪んでいます
この手の音楽ジャンルに触れたことのないかたからするとほぼ間違いなく「音割れてない?」っていわれる音楽です
オランダやイタリアで盛んなダンスミュージックのひとつです
www.youtube.com
また今回の楽曲には2017Updateverという音源があります
今回は楽曲は同じなのですがこの2017verを再度ミックスし直した2mix(ミックスが終わりマスタリングをする前の音源)を検証に使っていきたいと思います
※ミックスが少し変わっているため若干聞こえかたが変わっています
2mix音源ファイルの形式や条件及び検証結果
さて、今回の検証では以下の条件を設けました
- 最大※RMS値のだいたいの統一
- ゲインリダクション(どれくらい潰しているか)のだいたいの統一
- 44.1kHz,24bitのwav音源
※音圧を計測するための大まかな指標。この値が大きいと一般的に音圧が大きいとされるが。低域の含まれる量によっても左右されたりするので絶対的に信頼できる指標ではない。
Invisible Limiterでの音圧測定結果
最大RMS値は-5.5程度、ゲインリダクションは最大8.8とかなり潰してます
2mixがよくないためかRMS値に反して音圧はあまり出てない感が否めないです
ちなみに周波数分布や空間の密度は以下の通りです
PHASEの空間はやたら広がってますね
ひとつ注意として音があまりにも広がりすぎてしまうと位相が狂って原音が破綻してしまいます
ですので自身の参考とする曲がどれだけの音を広げているのかある程度分析してからアレンジやミックスを行うのがいいと思います
音の広がりについては以下の記事にて触れておりますので、よろしかったら参考にしてみてください
音圧を上げるための音の広がりの問題
超便利なフリープラグイン、Voxengo SPANの簡単な使い方
位相については少し難しい概念になりますが詳しく知りたい方は以下の記事が
参考になります
DeeMaxでの音圧測定結果
条件は先ほどと同様ですがなんとなく音圧感はこちらのほうが感じます
ただこちらもあまりいいマスター音源とはいえないでしょう
空間の密度等はInvisible Limiter時とほぼ同じ結果となったので画像は割愛させていただきます
L3Ultramaximizerの音圧測定結果
上記2つ条件と同じにしようとすると完全に音源がノイズまみれの破綻したものになってしまいましたので音源はあげないことにします…
やはりHardcore系とWavesのリミッターは相性が悪いのでしょうか?
くそでか音圧にすることを前提には設計されてないのかもしれません
ちなみに周波数分布と空間の広がりは以下のようになっていました
最初の2つと異なり音の広がりが大きくないですよね
Invisible LimiterとDeeMaxは潰した分のリバーブ成分などが増幅されて結果的に空間が満たされていると考えられます
結果 : 単純に音圧を上げるならばInvisible Lmiterが一番安定
さて、音源としては3連敗した感が否めませんがそれは僕がアレンジやミックスをまたゼロから見直していくしかないですね
個人的に今回の検証で一番音圧を感じたのはDeeMaxでした
しかしながらDeeMaxもこれ以上あげると位相がくるいはじめてノイズだらけになってしまったのでその点音を潰したことによって足された音が確認できる機能のついているInvisible Limiterの方が使い勝手はいいのかなと思いました
Invisible Limiterの機能について以下の動画を参照するとわかりやすいです
今回使用したものとはちょっと違い、Invisible Limiter NANOの紹介動画になっていますが通常のInvisible Limiterにもリミッターで足された音を確認できる機能はあるのでおススメです
原音を破綻させずに音圧が確保されている曲の例
最後に僕が参考にしているアーティストの曲の周波数分布と空間の広がりをみてましょう
参考楽曲は以下の楽曲です
www.youtube.comちなみにドロップ(サビ)のRMS値は-4.4くらいでした
空間の広がりをみるとそこまで派手に広がっているようにはみえません
ですが音圧はしっかり確保されていることは確認できるのでやはり僕の音源の場合は無理やり潰している量が多くかなり強引に音を大きくしていることがわかります
これは僕の技術的な問題なので解決策がみつかり次第加筆していきます
2mixで音圧が決まる
【音圧戦争】音圧だけに重点をおいたマスタリングの検証結果