ぶん殴りたくありませんか?この顔
僕は心底殴りたいですね
もしかしたら何回か殴ってるかもしれません
そんなわけで今回はこの見た目はむかつくが電子音学、特にダンスミュージック界隈においては知らぬ人はいないともいわれる音圧爆上げディストーションプラグイン、ソーセージファットナーがどういったものなのか検証してみました。
このむかつく顔で買いたくなったかたは以下リンクより購入できます↓
値段は39$ですね。
ソーセージファットナーの使い方

画像で表すならばざっとこんな感じの認識で大丈夫だと思います
基本的にこのプラグインでできることってFATNESSとCOLORというノブと回すこととGAINボタンで音量調整することだけなんです。
しかしながらこのプラグインの売り文句はなんといっても音圧が爆上がりするぜっていうことです。
ただ個人的には音圧をあげるというよりは、倍音を増やして音の存在感をあげて他の音と混ざったときに埋もれないようにするという表現のほうが正しい気がしています。
最初は僕も何をしているのかわからずに購入し、何を言いたいのかわからないこのプラグインの顔面を見つめながら使用しておりました。
ソーセージファットナーはディストーションプラグイン
一言でいってしまえばソーセージファットナーはディストーション(音を歪ませる)プラグインです。
よって処理内容としては音を歪ませ倍音を増加させているだけです。
ただ、その歪ませ方が通常の歪み系のプラグインとは異なるため音圧をあげるという売り文句で広まっているのだと思います。
ちなみに当記事で扱う“音圧”という言葉の定義ですが、RMS値やラウドネスなど難解な専門用語はおいといて耳できいた感じ同じ音量でもでかく聞こえるということにします。
動画サイトとで同じ音量なのにこの動画音ちっさ、とか逆にうっさとか感じるやつあるじゃないですか?
あんな感じです。
では実際どういったかたちで倍音が付加されていくのかサイン波を使って検証してみましょう。
検証開始

今回はCubaseに付属しているTestGeneratorを使用し、440Hzのサイン波をまず発生させます

周波数の数値が見え辛くて大変申し訳ないのですが、こんな感じで440Hzのサイン波です。
これに対してソーセージファットナーを挿してFATNESSノブを弄ってみましょう。
そうしますとFATNESSが28%になったところで以下のような変化が見られました。

1KHzより上の倍音が生じ始めましたね。
ディストーションをかけるとノイズも発生するため超低域の周波数も少し増加しています。
音自体も倍音が付加されたことによって歪みが生じ純粋なサイン波の音から随分違う音に変化しました。
※余談ですがこのプラグインは挿しただけでも音は変化します。
そしてそのときの奴の表情がこちらです。

倍音増やしてしてやったりみたいな面持ちですね、むかつきます。
さてもっとFATNESSノブをまわしていきましょう。

うぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!

うぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!

ぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!

凄い顔してますね。
ガチギレじゃないですか。
そのガチギレさせた結果の周波数の状態がこちらです。

もうサイン波の面影はどこにもありませんね。
あまりにもやかましい音だったので音源はのせませんがこれだけの倍音が付加されると当然ですがもはやサイン波の原型の音は保たれてませんでした。
しかしながら元々倍音成分が多い鋸波などの電子音はこのプラグインを挿して強めにFATNESSノブを弄っても原音のかたちはそこまで崩れず音の存在感はあがります。
よってシンセ系の音とは相性がいいです。
EQとかでも音の存在感の調整は可能だと思うのですが、こいつの優れてるところはこのノブを少し回すだけでなんかいい感じに音の存在感をあげてくれるので便利です。
作業の時短化に有効です。
一方で生楽器に対しては相性が悪いものも多いです。
もともと歪んでいるエレキギターとかはおいといて、ピアノとかは音割れに近い音になってしまうので注意が必要です。
補足:COLORノブについて
今までFATNESSノブのみを弄って検証してみましたがCOLORノブの方はどうなんでしょうか?
冒頭の画像の注釈にもある通りCOLORノブは歪みのキャラクターをかえるノブです。
試しにFATNESS、COLORのノブ両方をマックスにしてみました。

FATNESS100% COLOR100%
こんな感じですFATNESS100%と違いがようわからんということで比較すると

FATNESS100% COLOR0%
超高域の倍音の密度があがっているという印象を受けますね。
実際音作りで使う際にこのCOLORノブはめっちゃあげるとノイズっぽい音になるので使用する音によって適宜調整が必要だと思います。
音作りの一環として利用するのは問題ないと思いますがミックスとかだと余りにも原音からかけ離れてしまいますので僕はあんまり使用してません。
今回はサイン波で行ったのでそこまで激しい変化はありませんでしたが…
ソーセージファットナーをマスターに挿すということについて
まずマスターに挿すとはどういうことかというと曲のミックスまで完了してマスタリングにて音圧を確保するためにこのプラグインを挿すということです。
これは個人的には非常に注意が必要だと思ってます。
主な理由としては以下のことがあげられます。
- ミックスの音のバランスが崩れる
- 音楽のジャンルによっては音が破綻する可能性がある
- そもそもミックスに問題があるケースのほうが多い
ひとつずつ見ていきましょう。
ミックスの音のバランスが崩れる
今まで記述してきたとおり倍音が付加されるということは音は確実に変わります。
そしてそれは倍音付加の量が多ければ多いほどもともとの音とはかけ離れたものになっていきます。
せっかく一生懸命ミックスをしてバランスを調整したのにそれを破壊してしまっては意味がありません。
音楽のジャンルによっては音が破綻する可能性がある
すごく極端な例を出すとピアノのソロの曲にソーセージファットナー挿すかってなりませんよね?
ピアノはその音の性質上、歪みを加えると簡単に音が破綻してしまいます。
加えてクラシックなどの分野においてはダンスミュージックのように高い音圧はそもそも求められていません。
音の強弱のほうが非常に大事でそれを破綻させては全くもって意味がありません。
そもそもミックスに問題があるケースのほうが多い
DTMを始めて間もない方にとっては音圧が見本とする他のアーティストの曲と比べて小さいという悩みがまず登竜門としてあるでしょう。
せっかく一生懸命作った曲なのに迫力にかけるというのはなんだかもどかしい気持ちになるのも当然です。
しかしながら音圧が上がらない原因というのはマスタリングうんぬんの前にミックスや音の配置に問題があることのほうが多いと思います。
ですのでソーセージファットナーで全部解決というのは非常に力業というか音圧が向上しても音質は悪いみたいなことが出てきたりします。
僕も人のことをとやかくいえる身分ではないのですが魔法のようなプラグインを信じるよりももっと基礎的な音量バランスやパンふり、音の広げ方等をしっかり学び続けることが大事なのではないかと制作をしながら思います。
ソーセージファットナーは音作りや各セクションごとに挿すのがお勧め
まず音作りに関してですが例えばEDMなどのベースは歪みを必要とする場面が非常に多いです。
ですのでベースの音を作るため、太くするためにこのプラグインを活用するというのは有効だと思います。
実際やっている人も多い印象を受けます。
また、各セクションごとというのは、例えばドラムのフィルとかを組み立てたあとにバスドラ、スネア、ハット、タム等をひとつのチャンネルにまとめて送ってそこにソーセージファットナーを挿して歪ませることによってより荒々しい攻撃的なドラムフィルを作るといった感じす。
要はマスターではなくドラムをまとめたもの、ベースをまとめたものなどグループわけされた音源に対して挿すのは非常に効果的なのではないかということです。
まとめ:よくわからんプラグインはサイン波にさしてみるとわかりやすい
今回のソーセージファットナーもしかりですがつまみを回すだけでなんだか知らんが音がよくなるというのは僕的にはもやもやするので、そういったときはこのように検証してみるのはひとつの手かなぁと思いました
音を圧縮するコンプレッサーとかも挿しただけで倍音付加させるものも存在しますし…
例えばこいつ

WAVES – Vcompですが、こういった実機が存在するコンプを模したプラグインって挿しただけで歪みを発生させるものも多いです。
実際パラメータは一切弄らず挿してみると…

このようにわずかではありますが倍音付加されます。
コンプレッサーはものによって結構質感が違ったりして僕も未だにわけわからん部分が多いのですがこういった実験をすることにより何もわからん状態からは少し抜け出せることができるのではないかと思います。
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