先日とあるイベントにて自分が編曲したボーカル曲を大音量で聴く機会があったのですがそこで音の鳴りに関していろいろ反省点があったので書きとめます
低域と高域の音のバランス
結論からいうと低域が寂しく、高域がうるさかったです
ボーカルの方の歌がよかっただけにオケがそれを邪魔してる感じがしてとても申し訳ない気持ちになりました
他の編曲者さんの曲も歌われていたのでその差ははっきりわかりました
それでは何故そうなってしまったのか周波数分布を実際に見て検証してみましょう
※アーティスト様の営業妨害になるので今回音源はのせません
今回はVoxengoのSPANというプラグインを使用しました
画像ですべてを伝えるとこんな感じです
このSPANとプラグインの場合、低域から高域にかけてほぼ水平くらいになれば一般的な歌もの電子ミュージックとしては調度よい感じなのですが、見事に高域の主張が激しいですね
ちなみに検証箇所はボーカルはなくシンセリフがメインのパートです
この曲に関しては歌もので全体的にかわいい系の音が多かったためあえてキックとかの音量はおさえたほうがいいかなと思いやってみたのですが先日の音の鳴りを聴いて
これはまずい…
ってなりました
前回モニカー環境がこうだ~ああだ~低音の鳴りが違うとかほざいていた僕は何だったのでしょうか?
とにかくそのアーティストさんが歌っていた他の編曲者さんの曲と比較するとキックの鳴りは残念で高域がシャリシャリしてて心の中でうぉおおおおおおおってなってました
電子音楽特有の周波数
さて、いつまでぶつぶつ言ってても世に出てしまったものはもうどうしようもないので
ここで電子音と生音の倍音構成についても書いておこうと思います
とりあえずこちらをご覧ください
これはTK(凛として時雨)というアーティストのunravelという曲のサビ部分の周波数分布になります
この曲は東京喰種トーキョーグールOPとしても有名ですね
www.youtube.com
めっちゃいい曲で東京喰種トーキョーグールという作品自体も凄く面白いので是非読んだり聴いたりアニメみたりしてみてください
さて、これも画像で主張してますが生楽器で構成された音楽には電子音楽と違って存在しない帯域というものがあります
それが超音域(18kHz以上くらい)が顕著であり逆に電子音は上記画像にない帯域が簡単に出ます
さらにダンスミュージックのクリエイターは当たり前にやっていることだと思いますが
、ディストーションプラグインを挿して倍音を増やすことによって音圧をあげていますよね
【SAUSAGE FATTENER】ソーセージファットナーとかいう音圧爆上げ謎プラグイン
このことについてまた別の記事で書こうと思いますが、音圧をあげるために行っている処理は高域の倍音を増やしていることが非常に多いです
この生楽器には存在しない周波数という部分が電子音学が生音系よりも高い音圧を出しやすい要因になっています
他にも生音系はダイナミクス(ピアノでいう音の強弱、抑揚)を壊さないようにするためにそもそも凄まじい音圧が必ずしも良いとはされてなかったりするようですがこれについてもまた別記事で書こうと思います
2つの音源の比較
さてここで改めて2つの音源の周波数分布を比較すると後者は低域もよく出ていますし
全体的な帯域のバランスもとれています
しかし前者の僕の曲に関しては超高域の主張が激しすぎるかつ低域が足りていません
音源のソースも違いますして一概にこれがすべてとは言えないのですが、先日感じた高域のシャリシャリが凄かったのはこの超高域をもう少し削ればよかったということと、低域の補強、そして全体的なフェーダーバランスが悪かった結果かなと思いました
あとはライブで爆音で流すという想定をもっとしていればって感じですね
普通にスマホとかで聴くぶんには問題ないなと思っていたのですが、自宅では
出せない音量で流すといろいろ粗がばれるなということを実感した日になりました
ちなみに一応画像左下にRMS値(曲の音圧を表す指標のひとつ)もピックアップしましたが、前者はイントロ部分、後者はサビ部分なので今回はあまり気にする部分ではないかなって感じです
また余談ですが、RMS値もメーターによって算出方法が異なるようなので自分で決めたひとつのメーターに絞って制作を進めたほうがいいかなとも思います
普段破壊兵器みたいな曲ばかりつくってるぶん歌ものはほんとにまだ苦手だと痛感しましたが、今後の制作に対する良い経験にはなったと思ってます
そんなわけで今回は周波数帯域の話でした!
【マスキング効果】車で自分の作曲した曲を聴いたら重低音で全てかきけされてた話
ミックスするうえでのモニター環境