作曲のエンジニアリングラボ

電子音学のこととか音楽じゃないこととか書いてます

イコライザーで低音カットしすぎないほうがいいときもある

スポンサーリンク

f:id:ytek:20190811114828p:plain



DTMのミックスの際にイコライザー(以下EQ)でとにかく低域をカットするという手法は曲を作られてるかたならば一度は聞いたことがあると思いますが、場合によっては低域をカットしなくてもいい場面というのもあるので今回は低音カットしすぎ注意という名目の記事になります

 

 

 

そもそも何故低音をカットするのか?

ざっくりいってしまえばキックやベースなど低域を担当する音と周波数帯域が被らないようにするためですね

低域を担当する音が配置されているのにも関わらず100Hz以下らへんのキックとかが役割を果たす帯域に他の音が被さっていると双方の同じ帯域がぶつかりあってしまい2つの音が喧嘩して全体のサウンドがモワッとしてしまいます

いわゆる音が団子になっている状態です

意外と低音が含まれている音は存在する

一見して低域が全然含まれていないように聞こえる音にもアナライザーでみてみると結構含まれているということはよくあります

以下はピアノ音源(C4)の周波数分布になります

 

f:id:ytek:20190809133048p:plain

 ピアノ(C4くらいの高さ)ってただ音だけを家の音響環境で聞くぶんには中域~高域が目立つので低域はそこまで含まれていないと感じるかもしれませんがC4の範囲で鳴らしてみても意外と100Hz付近も存在しています

ですのでこの音がキックやベースと同時に鳴るときは100Hz付近の役割はピアノには必要なくなるのでEQでローカット(低域を削る)するということになります

 

低音を担当する音が少ないパートはむやみにローカットしないほうがよい

曲のサビ前は盛り上がりを演出するために静寂なパートを意図的につくるときがあります

そういったときにキックがバシバシなってたりすると雰囲気が壊れてしまいますのでどうしてもわかりやすく低域を補完する音が少なくなる、あるいはなくなる瞬間が出てきます

このときに"ミックスはとにかくローカットだ"というワードが頭に残っているとただでさえ全体的に低域が少ないのにもかかわらずさらにローカットされることによって今度はスカスカな音になってしまうということがあります

前述の通りローカットはあくまでも低域を担当する音が存在したり同時に鳴る他の音と周波数帯域が被らないようにするためにやるのであってその役割を担当する音がなければしないほうがいいです

リファレンス曲を分析して研究して全体の周波数帯域を確かめてみる

新しい曲をつくるときそれぞれに見本にしている曲があると思うのですがミックス、マスタリングにおいてこのリファレンス曲の周波数分布を分析しておくことはとても重要なことだと思います

今回の題材でいえば低域が少なく聞こえるパートはどうなっているのか?とかですね

僕がリファレンス曲を分析した例でいうとここのパートはあまり低域ないなと思っていたパートでも意外に多くの低域が含まれていたり、実際そこまでなかったとしても音を左右に広げることで聴覚的に音量感がそこなわれないように工夫してあったりと新しい発見がかなりありました

音の広がりと音量感については以下の記事を参照してみてください

 

人間の耳はわりといい加減なものでこの部分低音ないのでは?と思っている箇所でも単純に可聴範囲でない周波数だったりして聞こえてなかったりします(めっちゃ低いサブベースとか)

また低域はそれなりに音響の環境が整っていないと音として聴き取ることは難しいです

"音"というよりは"振動"としての役割が強いので

さらに日本人の場合は中域から高域をに耳がいってしまう傾向があるようでただでさえ聞こえにくい低域が余計に聞こえなくなっているということも原因のひとつとしてあるかもしれません

 

クラブとかスタジオで大音量で曲をながすと低音がないのは一発でばれる

これは以前僕自身がクラブでDJをしたときに感じたことなのですが低音の有無はクラブとかスタジオなどの大音量で音がなる環境で流すと一発でばれます

またばれるだけではなく低音が足りてない曲あるいはそのパートだけ極端に迫力がなく聞こえてしまいお客さんからすると音量さがった?と錯覚するほどです

50Hz以下の周波数に関してはクラブやスタジオで流してもカットされてしまう現場は結構あったりするのですが鳴る場所ではその差が露骨にわかってしまうので特にダンスミュージックをつくったりしているかたは注意したほうがいいと思います

大音量で流す前提の曲ではなくても最低限の低域は確保したほうがいい

100Hz~70Hzくらいですとおそらくどこでも不足しているとスカスカになってしまうので最低限このラインの周波数はあるべきです

大音量で流すことを想定していない曲だったとしても低域はそれなりにないとどこか迫力のかけた音源になってしまいます

音としては聞こえにくくとも曲全体に厚みをもたせる縁の下の力持ち的な役割を担っていることもしばしばありますので是非一度研究してみることをおすすめします

実際にスタジオを借りて自分の曲を流す機会を設けてみるのもとても良い手段だと思います

 

リファレンス曲を聴くときは低域を意識してきくといい

中域や高域は流し聞きしてても聞こえてくると思いますが、低域はそれなりに意識して耳を傾けないと気づかないことが多いです

キックや裏拍のベースとかは聞きとりやすいですがローパッドなどのレイヤーしてある音はその音を意識しないと存在に気づかなかったりすることが結構あります

そういった一見して聞こえない音の役割を探したり自身の曲作りに昇華してみたりすると新しい発見があると思います

 

とにかくEQはローカットだ!という考えはあまりオススメできません

確かにミックスやアレンジにおいてEQでローカットをする頻度は高いのですが、何故その音をカットするのかを思考してから実行に移したほうがいいと思います

既に低域の役割をもつ音(キックやベースなど)があるのなら同時に鳴る他の音の低域は不必要なのでカットする必要があると思いますが、キックとかをあえて外してあるパートで全ての音をバッサリローカットしてしまうと低域の不足により音がシャカシャカしてしまいかえってよくない結果になってしまうことが多いです

EQでのローカットは簡単でとても基礎的な処理なのですが何事もやりすぎ注意です

低音は人間の可聴範囲以外の周波数帯域であってもとても重要な役割を担っているので

その重要性を理解したうえで処理を組み立てていくとより早く理想の音源に近づけると思います

アナライザーで周波数分布をみたときに低域から高域まで万遍なく埋まっているのがいい音源(以下リファレンスの周波数分布)だと僕は思いますので是非自信の目標としている音源のバランスはどうなっているのかということを一度確認してみることをオススメします

f:id:ytek:20190810225713p:plain

 

ただミックスやマスタリングがうまくいっているからといってそれが多くの人の心をうつ曲になるかはまた別問題なのでそのラインはきっちりわけたほうがいいと思います

というわけで今回はEQのローカットは大事だけど場合によってはしなくてもいいかもという記事でした